amariacari's Review
ここにサブタイトルが入ります

ヤスミナ・レザの舞台劇「大人はかく戦えり」を、ロマン・ポランスキー監督が映画化。登場人物はほぼ4人のみで、ジョディ・フォスターとジョン・C・ライリー、ケイト・ウィンスレットとクリストフ・ワルツが2組の夫婦を熱演。それぞれの子ども同士のケンカを解決するために話し合いを始めるが、時間がたつにつれ各々の本性が剥き出しとなり、時に夫婦間で、時に男女間での不協和音があからさまにされていく。敢えて、舞台劇の形式を崩さずに映画化し、室内でリアルタイムに進行する会話劇。俳優の‘力’が余すところなく発揮されている。映画というメディアの特徴を考えれば、いくらでも表現方法はあったと思うが、「これこそが、舞台劇！」との敬意が籠められた作品と言えよう。肝心の子どもたちは登場しないが、タイトルバックからのファーストシーンとラストが子供たちのシーンとなっているという玄人集団ならではの編集が心憎い。俳優人は四人とも素晴らしいが、特にジョディ・フォスターが秀逸。全身の芯から末端までくまなく随意筋かと思わせる表情の変化。原題のcarnageとは、殺戮を意味する語なのだが、言葉による応酬の中で、傷つけ合う事がどこまで許され、また堪えられるのかを考えさせられもした。かなり面白い作品でしたが、‘映画’というより、いい意味で‘舞台作品の記録’とも思えるため、☆は４つとしました。